スマホでも十分キレイな映像が撮れるようになった今、もう映像制作ビジネスはダメかという話は至る所から何度でも心配頂きますが、やはり商業ビジネスとして安定的に確実に撮影して一定以上の品質を維持しようとすると、プロならではのアドバンテージがあると思うのです。
結局は失敗しても何度でもやり直しがきくような、納期・クオリティ未定な案件は、誰でもできるけれど・・・という感じでしょうか。冒頭の話は、世界クラスのマラソン大会で、一般人がある区間だけ、側道を必死で駆け抜けて追い越すようなものでしょうか。要は後のことを考えなければ、ペース配分なく無茶ができるということかと思います。平均すればNG(マラソンなら誰も感動させない&勇気づけない)みたいな。プロは平均80点が取れればとはよく言ったものです。
ましてや先日の長時間撮影になると、人の数の問題、保存媒体のこと、三脚や、バッテリー、ケーブル、編集を考えた収録スタイルやデータバックアップ、そして移動手段や駐車場などトータルで費用を見積る必要があり、高すぎても安すぎてもダメなものもあります。とにかくイベントは音声がダメだとすべて台無しになります。
長時間撮影動画の扱いについて
ご依頼者がIT音痴か役員向けに短くして と言わなければ・・・気持ちの上では8時間の映像は、8時間見せるのがいいと思っています。昔は閲覧媒体がVHSやDVD、ブルーレイしかなかったため、何枚組は面倒だから結局2時間という制約が付いて回っただけで、現在は著作や秘密保持、倫理、公序良俗等に違反がなければ、ネット上にすべて置くことができます。
しかも閲覧者側も、自分のパートが削られるのは心外な人も少なからずいて、だから収録した全てを見せてあげるほうが合理的だと思います。編集側も大変だし、実際、編集した日数まるまる請求することは難しい。(1カメ8時間はきついけれどマルチカメラなら。)
単に絵替わりシーンでつなぐだけの短いバージョンづくりは、粗編集はAIがやる時代になるでしょうね。
とにかくネット生中継配信でのマルチカメラ撮影は、バックアップも兼ね、後からの閲覧も兼ねた究極な仕組みだと思っています。これが無理でもスイッチング内容をディスクに保存すれば後編集も楽をできるし、編集時間を究極的に抑えることもできます。
もちろん生にもリスクがあって、回線問題や、特に問題が起こりやすい音ズレ、スイッチングや機材トラブルも含めてそのままアップされるから、やり直しは基本的に難しいということ。あくまでも即効性重視という感じでしょうが、イベントは何度も見返さないでしょうし、必要なところを早送りできる仕組みがあった方が便利だと思っています。
編集の要諦?!
ということで、午後からとはいえ13時半からスタートして21時半までと長時間の撮影データを編集していますが、短くするためのコツは、先に設計図を描くことかと。8時間を2時間として闇雲にやったら時間がかかりすぎます。だからざっくり演目毎や人毎にバラした後、例えばあるパートを5分にするなら空テロップで5分を作って、タイムラインに置いてそれをガイドにする。ガイドに沿って短くしていくと案外効率的だと感じています。お客さんにも説明しやすい。
8時間すべての言葉をすべて聞いていたら大変だけど、結局はそれに近いことをする必要があるのはどうしようもないですね。とにかく編集は閉じこもってやるのではなく、景色を変えてやればはかどると確信している次第です。(苦笑)