どうやら大きな駅に着いたようだ。
まだ目的地には程遠い。
開くドア付近に小さく立っていた私にぶつかる人がいた。
白い杖を持った男性老人と、支える女性老人の二人だ。
慣れないようで、女性は男性に、段があるので足を大きく出して!とささやき、男性は私につまづきながら、なんとか、乗り越えた。
そして向かい側に停車する電車へと、同じ掛け声をかけながら渡って行った。
声なき心の声を聴いた気がする。
何処から来て何処へ行くのだろう。
高齢社会は力なき資金なき弱いものから奪いながら深刻化してゆく