島原の乱とはいったいなんだったのだろう?

IMG_0135恐らく、日本人が、国にNOを突きつけた最後の声だったのかもしれない。
(写真は2014年天満橋)

これを機に一般民間人は、物言う人間から、税金を搾取されるだけの立場に追いやられたのだ。IMG_0122

そんな長崎の話がいつしか大阪の道修町が薬の町になるきっかけが出てきて、ビックリする。
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飯嶋和一
彼の次の作品を読むには、次の4年後を待つしかない。この枯渇した気持ちを起こさせるのは熱心な読者になった故の罰かもしれない。IMG_0128
彼の小説を読んでいると、
いつも涙と感動とが入り混じった
熱いものが込み上げてくる。
なぜだろう。
それだけ丹念に取材をし、深い洞察力と構成力で実話と創作の境をうまくミックス。念入りに言いたい芯を混ぜながらストーリーを練り込むからであろう。
クライマックスまでどうなって行くのか、まるでわからないが、預ける心地よさがかる。途中で本を閉じるのが名残惜しい。あの長編を一日で読み切っても自慢にならない。
傾向はあるものの、どの作品も問題提起と解決といった通り一遍の道は示さず、無我夢中で読ませてくれる。
今回、長らくお預けだった「出星前夜」を読破した。
長崎に近い土地で、ある子供達が熱病で次々と倒れるところに勇敢な医者が駆けつけるが、数日で代官に追い返されるところからストーリーは始まる。
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天草四郎が島原の乱に向かうまでのきっかけもさりげなく描かれる。
他国の何倍もの年貢取り立てやキリシタンへの虐待(生きたまま燃えたぎる雲仙岳の火口に落とす、改宗しないと土から顔だけ出してノコギリ引き)悪行の本当の背景。
キリシタン撲滅の裏でうごめくカネと権力。国の中枢でさえ政治はそこになく、浄化作用がきかない私利私欲が支配する時代。IMG_0100
極めつけは途中、筆者や、善意の医者に言わせる言葉。とても気が引き締まる。
「思えば、生は死から現れ、死へと戻っていく。そのわずかな間に見る夢のようなものだ。」
「この地の医家というのは、薬種を扱う問屋や薬商人と深く結びつき、人の病苦や不安につけ込んで法外な薬料を取るだけの特権商人の類である。」
「医科の薬料や施術料のために病人が存在するわけではない。」
「き然として正論を述べる者は、多くの腐敗した者たちからねたまれ、いずれありもせぬ罪を着せられたりすることとなる。」
北山寿安(きたやま-じゅあん)という、名前が登場し、島原の乱と、北浜がここで繋がる。
江戸時代になにわ随一といわれた名医。人格者だったことでも知られ、低下層の患者からは治療費を取るどころか薬袋に金銭を入れて渡したほどでした。
また、製薬・調合法の指導にも熱心だった。

 

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