数年前、SONYハンディカムの4K映像を等倍モニターでみせてもらった際、純粋に感動しました。既にボケがどうこうは関係なく、パンフォーカスでも画質が良ければ成立するんだと学んだ瞬間でした。
ということで間違いなく、映像素材はよければよいほど、シンプルに見せたほうがベストです。
中華料理
たとえば収録音が良くないから、フィルター処理でノイズを減らして、違和感を埋めるのにBGMを足す。映像の方も、脚本がしっかりしていないとか、インタビューのコメント構成が良くないからといって、CGや文字効果などでごまかす。
まさに水がおいしくないから、素材が新鮮でないから、味付けを濃くする文化が生まれた中華料理のようなお話です。(良くも悪くも)
その点、日本はさしすせそ のシンプル。引き算!の国です。今の添加物たっぷりのスーパーやコンビニ弁当などを見ていると、そうだったことを忘れてしまいそうですが。
今回の映像
まさに映像もそれに当てはまるシーンでした。しかし、デジタルサイネージなど二桁もの映像素材が並んでいく使い方には、もうひとヒネリが必要ということがわかりました。
もちろん、ランダムでインタビューや現場シーンをまぜこぜに見せたい場合は、素材のみでもいいかもしれませんが、PRの場合はある程度、見る側に対しての配慮として、調理(整理)するなど工夫しないといけません。
本当は楽してテロップで強引に纏めるという方法はありますが・・・これは最後の手段として・・・
今回、お店をやるきっかけ、お客さんにどのように感じて欲しいか、お客さんの声、入店シーン、施術シーンなど、一見同じ映像の羅列ながら、それとなく変化がわかるよう、本編を子画面にする、しかも背景を変えることにしました。
これなら階層化したテロップも、子画面の外側に乗せやすいでしょう。
本音を知る
見た目は統一感が出たとして、本当の意味でのコンテンツ整理のためには、真に当人が言いたかったことを理解する必要があります。だから料理=不要な重複シーンはカットしますし、順序だって入れ替えます。
相手がプロの話し家であれば、そんなこと不要かもしれませんが、慣れないカメラの前では、崩れる人の方が多いのです。そのための2カメは必須として、絵を変えて同ポジ編集を避け続けるにも限界があります。
で、この不要なシーンを削除する編集が必要になります。しかし、その方のこだわりが強ければ強いほど、何度も何度も聞く必要があり、相手への確認作業も必要になります。
そしてやり方がまずければ、素材を殺してしまうというリスクを映像マンは持っているのだし、皿を変え、出す順番を考えるコース料理のような技術が必要なんだと、映像制作の難しさをあらためてしった次第です。(ディレクター目線の編集が出来ないと世間で通用しない)
大手の仕事をやっているベテランディレクターから、映像制作は建築と同じと教わったことがありますが、まさにその通り。設計士のように、設計図の段階で完成を極め、それにあう材料と道具と職人が必要なのです。予算も。
が往々にして、映像の場合は、予算の関係などで、現地でエイヤーとやる場合もあるので辛いですよね。やはりお客さんに啓発していかなければ・・・