感染症と戦う 防備録2

前回同様、歯科技工士のための感染知識と対策例 を少し読んでいます。

感染症は難しい言葉の数々が並びますが、命に関わる身近な問題が多く、少しづつ学べればと思います。そこから抜粋、引用します。(一部改変)

 

医療現場でやっかいなバイオフィルム

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  • その名の通り、バイオフィルム(biofilm)は、生物がフィルム状になった状態を言う。体に常在する細菌や真菌は、浮遊状態ではなく、何かに付着しバイオフィルム(biofilm)として生存する。
  • 細菌は住みついて増殖し、一定数に達し、住環境が悪くなるとシグナルを出して増殖をストップさせる。まさに細菌同士が情報伝達をする。
  • バイオフィルム集団になるのは、ブドウ球菌(病院内感染)、セラチア菌(病院内感染)、レジオネラ菌(病院内感染)、緑膿菌(再発性肺炎、病院内感染)、大腸菌(尿道炎、食中毒)、カンジダ・アルビカンス(デンチャープラークなど)など。
  • 病院内での感染症は、上記集団が常在し、医療器具にバイオフィルム形成し、免疫力低下したグループに感染症を起こす。
  • バイオフィルムはチャネルを介して栄養源を取り入れ自分達の環境破壊するような老廃物を排出することで、頑固に生態系を築きへばりつく。
  • バイオフィルムには防御機能が備わっており、生物質などの抗菌薬や消毒剤は、浮遊菌に対しては有効だが、バイオフィルムに容易に浸透させることは難しい。

 

誤嚥性肺炎の原因にもなるデンチャープラーク

  • 入れ歯の歯垢(デンチャープラーク)は、カンジダなどのカビの仲間が細菌と一緒にへばりついたバイオフィルム群。
  • 歯垢(デンタルプラーク細菌)と同様、食べ物が口に入ってこない就眠中などに分裂増殖して、ぬるぬるした成熟バイオフィルムとなる。これが義歯性口内炎を起こすだけでなく、誤嚥性肺炎にも繋がる。
  • 唾液などに混入した細菌の誤嚥性肺炎。毎年10万人が肺炎でなくなる。
  • 誤嚥性肺炎は、細菌集団が就眠中などの知らないうちに下気道に流れ込み、肺のマクロファージなどの白血球に駆逐されることなく増殖し発症する。
  • デンチャープラークのバイオフィルム除去も出来る限り研磨剤を使わないことを推奨
  • 感染(infection)は、ラテン語で”染まる” の意味。

 

 

 

8kirei3感染症という言葉は、院内感染など、医療従事者だけの用語に聞こえますが、それを持ち込むのは、歯が痛いと飛び込む一般市民であり、病歴などの事前チェックが出来ない無防備な歯科は常にリスクにさらされているのです。

また、スポーツの関係でマウスピースをするとか、矯正をするとか、歯を失って部分入れ歯や、総入れ歯になることがあります。デンチャープラークは、ここに付着するバイオフィルムであり、とても身近な問題になっています。

特に、誤嚥性肺炎が多い高齢者には、いかに口内不衛生にすることが身体に悪いか、しかも肺に入ることが怖いかということがわかります。口臭は菌の発するガス、大腸からのオナラがくさいのも、悪玉菌のガス。良いニオイで悪いニオイを包み込むことがいかに無意味か。やはり元からなくさないと問題解決になりません。

とにかく、平成22年の統計まで死亡要因3位だった脳血管疾患が順位を落としました。僅差ながら、3位に躍り出た肺炎。東日本大震災が統計に関わっていると勝手に想像しています。せっかく助かった命が飲み水が優先され、うがいに回せなかった。とにかく口を不衛生した途端、死への扉が開くという恐ろしい裏事情がわかるような気がします。ちなみに阪神淡路大震災でも2次災害で24%が誤嚥性肺炎で亡くなっています。

8020運動で長生き! 健康寿命!と声高々に、スローガンをかかげるのは簡単。若いときは身体中の防衛本能が有効に働きますが、歳をとるとそうはいきません。口元の安全装置 唾液すら枯渇し、酸素と食事を振り分ける、のど元の弁が弱体化するのです。高齢者の両親や親族を持つ方自身がそれを理解し、積極的に口腔ケアを進めてもらいたいものです。

ちなみに、当社が扱うバイオフィルムを安全に分解する特殊酵素
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の原理は、アミノ酸結合を弱めることで、親水性に変化させ、水洗でも汚れが落ちるようになる画期的な資材です。はがれた汚れが腐敗しないように除菌も出来ます。もちろん塩素やアルコールなどを使用される場合も本来の殺菌効果が上がります。詳細は8kirei.jpにて

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