美しい町
著者 金子みすゞ
発行所 JULA出版局
何度か書いていますが、スマップ「世界に一つだけの花」より先に「みんな違ってみんないい」をうたった童話詩人。
かつて車で7時間近くかけて山口へ。目的は東大出の元銀行マンが、自宅資産を処分したいとのことで出店写真用に、シグマのデジタル一眼レフSD9でモアレ・ひずみのない写真を撮るためでした。
その途中、この金子みすゞさんを産んだ仙崎に立ち寄りました。漁港があって自然豊かな海に囲まれた土地でした。仏教本など豊富な図書に囲まれて育った彼女が、心優しい感性豊かな文化人に育ったのも納得でした。
捕鯨をし、さばいたお腹から子供が出てきたら、法名をつけて供養する鯨法会(くじらほうえ)という習慣があったこの町。現代も供養し続ける暖かさ。もちろん、現地の人も恥ずかしがり屋さんでしたが、本当にこちらの気持ちになって接してくれたことが懐かしい思い出です。
ペリー来航の要因になったクジラ漁も、結局はアメリカ人が、金儲けのため際限なく鯨をとりすぎたことが要因。しかも皮をはいで、ランプ用の油をしぼったらポイと海に投げ捨てていたから枯渇した。物申す団体、反捕鯨団体・グリーンピースの活動家にぜひ知って欲しいものです。(苦笑)
みすゞさんの本
話を戻して、残念ながら最後は悲しい結果になったみすゞさんですが、鯨同様、現代も深く心の傷を負った者どもを癒しています。
幼稚園で読まれてる童謡。時代が進んでも教育の根本は変わらない。初めての方はぜひ子供の情操教育にチェックしてみてはいかがでしょうか?
「鯨法会」
鯨法会は春のくれ、
海に飛魚採れるころ。浜のお寺で鳴る鐘が、
ゆれて水面をわたるとき、村の漁師が羽織着て、
浜のお寺へいそぐとき、沖で鯨の子がひとり、
その鳴る鐘をききながら、
死んだ父さま、母さまを、
こいし、こいしと泣いてます。海のおもてを、鐘の音は、
海のどこまで、ひびくやら。