デジタルサイネージってご存知でしょうか?そう、駅やオシャレビルにはあるデジタルのサイン、映像や音声や文字が混在しているあれです。
納品形式(映像フォーマット)の問題
映像制作に関わる業者は、いつか必ず、この問題にぶつかります。本来は自動車の衝突事故じゃないけれども、どちからが上手ければ、事故は避けられます。
つまりお客さんか業者側が詳しければ、なんのトラブルもなく、納品、上映と進むものだと思います。
しかし相手は進化し続けるIT技術。間に設置業者がいるのがあたりまえのデジタルサイネージは、奥深いものがあります。
だからお客さんが素人で、かつこちらもその業界にてんで疎い映像屋さんがいることも確か。そもそもアナログで始まった映像業界には、解像度とか、転送レートとか、拡張子や、トラフィックなんて深く知らなくてもいいポジションがあることも確かです。
でも実際の現場では、デジタルサイネージの規模によっては、いろんなチューニングが必要で、特にネットワーク上を流れて複数のキャストする場合は、ハードウェアの仕様をクリアした上でさらに、トラフィックを考慮し、以降の運用設計含めた、更新ワークフローまでをも包含して、提案&構築すべきだと思います。
本来は、設置業者がやるべきなのですが、単なる機材レンタル屋さんであることもあって、うれし悩ましいのです。
ということで、今回、お客さんから、「動画を入れ込むのは初めてなので、業者さんに連絡して調整してね」 とあっさりタライマワシされたので、元SEとしての面目を保ち、良い経験になるとのことで、歯を食いしばって少し調べることにしました。
デジタルサイネージの仕様
もっとも、今回の用途は1:1のローカルプレーヤーへの流し込みなので、トラフィックは関係なく、プレーヤー側の仕様さえクリアすればいいことが解りました。
で、SONYのマニュアルを眺めると・・・・案外、落とし穴がありそうだったので、調べずに納品しなくて良かったと胸をなでおろしたのです。
今回の機材仕様トピックは次のとおり(お使いの機器によって大きく変わりますので、あくまでもご参考まで)
- 静止画はPNG含め、たくさんのフォーマットをサポート
- 動画はフォーマット3種類
- 1ファイルサイズは2GBまで
- ピクセルアスペクト比が1でない動画コンテンツはNG
- サポート外コンテンツは黒画面に
- FHD30P、60PはNG
- 転送レートは、最大25Mbps(MPEG2-TS)/最大20Mbps(H.264/AVC)(Video:H.264/AVC,BP@L3,MP@L4,HP@L4)
(Audio:AAC) - ファイル名は30文字以内
- 最短時間10秒 最長時間 制限なし。コンテンツのサイズなどによっては、読み込み時間に時間がかかることがある
所 感
H.264で転送レートが20Mbpsで、プロファイルがレベル4なんて、うっかりするとオーバーしてしまうでしょうし、30Pが対応していないとなると、インターレースに落とすか、HDサイズにして30Pにするか悩みどころでした。
今回は、川の流れがあるわけでも、森林で木々が風でなびいているわけでもないので、小さめということで8Mbps、FHD 60iにしました。念のため、MPEG-TS形式でもエンコードし、他の形式も合わせてUSBチップに入れて納品することにしました。MPEGの8Mは汚かったため、12Mbpsにしました。
サイネージの最新情報を見ると、すごいですね。インタラクティブ機能など、閲覧者の動きに合わせて変化する映像など、外部からのインターフェイスにも対応しています。VRや遠隔医療、空中からの景色含め、今後、映像はますます様々なビジネスの中心になるのは確実であり、そしてそれはネットワークを介して、驚くほどの革新を生むことは間違いありません。新しいもの好きとしては、これほど楽しみなことはない一方で、300名以上のビデオカメラマンさん全員が一斉に活躍する仕事も、そろそろ近いなぁと思う次第です。 |