歯磨き粉で歯を磨く行為を1日3回以上する人は珍しくない現代ですが、かつて日本の田舎では川で歯を洗ったりして、ほとんど歯磨き粉を使っていなかったといいます。しかもそんな人に限って虫歯知らずだったというから、人間は普通の食事さえしていれば、健康維持に金がかからないようになっているのかもしれません。
手で歯磨きしていれば&食後のりんごをかじっていれば、そもそも汚染されやすい構造の歯ブラシを洗うための洗浄液も不要なのかもしれませんね。(苦笑)
習慣のはじまり
その習慣はやはりインドでのユニリーバによる農村向け石鹸販売戦略と同様、アメリカのマーケティングが産んだ結果のようです。(学校を使った子供経由のデモや、子供と親を対象としたキャンプ、母親への勉強会を通じて、目に見えない細菌が健康に与える悪影響を伝える活動を伝えた)
当時、アメリカでは歯を磨く習慣がほとんど浸透しておらず、あまりの歯科衛生状況の悪さに、連邦政府が国家安全保障上の危険を宣言したほど。「この歯磨き粉は売れる」としてPRを引き受けたホプキンス氏は、「人々に歯磨きの習慣を植えつける効果的な宣伝文句」の考案に頭を悩ませました。
結果、わずか7パーセントだった「歯磨きを習慣にする人」の割合が、10年で65パーセントにまで増加。多くのアメリカ人が「ペプソデントで毎日歯を磨けば、白くてきれいな歯が手に入る」と考え、歯磨き粉を使った歯磨きを習慣化したのです。
科学的根拠は全くなかったものの、アメリカ全体に歯磨きの習慣を植えつけることに成功。アメリカで歯磨きの習慣が広まったきっかけは、1人のビジネスマンが生み出した宣伝文句だったのです。