目に見えるものだけがすべてではない

曖昧なタイトルが多くなったこのブログですが、大鳥圭介さんを描いた文庫を読んでふと、思い至ったのです。

明治維新と戦った大鳥圭介(伊藤潤著、出版社:新潮文庫)より一部引用

常の秀才であれば、筆耕という作業を正確に行うにはどうしたらよいか、ないし原本に近いものを筆耕するにはどうしたらよいかを考える。しかし大鳥は、筆耕という作業自体を省略できないかと考えた。となれば、教本を木版で刷ればよいのだが・・・・・(略)。大鳥は、蘭書でヨンダ金属活字を作ってみることにした。(略)

日本の印刷の歴史は、本木昌造に始まるとされているが、本木が実用化に成功したのは、1870年で、実際には大鳥のほうがはるかに速い。しかし大鳥は、本木のように印刷を生業としていたわけではない。

wikipedia抜粋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E5%88%B7
明治時代に入り、1870年には本木昌造が長崎に新町活版所を創立、これが日本における民間初の洋式活版の企業化

まさに、表面に見えているものは、真実でないかもしれないという教訓ですね。
企業でも上司が部下の功績を奪ったり、大学教授が学生に書かせた研究論文を自分のものにしたり、ビジネス本を成功した創業社長が書かずに出版側が手配した人に書かせたり、NHK紅白で地方で儲けさせるバーターとして、歌手を無料で使う一方、外部の選定委員の方は、億単位の金や女を好き勝手にする話にさも似ています。まぁ夢の話ですが(笑)

 

ゾゾスーツオーダー

産業を創造する大阪産業創造館?

そういえば発表後すぐざま紳士服メーカー各社の株価を急落させたという、ZOZOTOWNで超低価格で完全カスタムオーダのビジネススーツ発売など、相変わらず業界を騒がせていますが、内部の火付け役はどうやらスーツ業界から中途入社してきた社員さんのようですね。10万人の方にゾゾスーツやデニム、Tシャツを無料配布は衝撃ですが、今週日曜日の紳士服オーダーのイベントの生中継で関わる私としては、やはり真のオーダーはまったく違うと思っています。

オーダー職人の作業レンズ越しに見て驚いたのですが、オーダーの裁縫職は需要が減って年齢がどんどん上がり、国家試験も一部廃止になったりする一方で、若者が目指す流れが出てきたということ。さらには80歳でも現役でオーダーの製作に関わり、何十キロも車を運転する人も多いようで、要はボケない長持ちする仕事だということ。健康寿命アップを目指す日本には大ヒントが隠されているということを思い知ったわけであります。

おそらくきっと、とても短い針で常に指を動かし、さて次はどこを縫おうかと技術の粋を年老いても探求し続け、採寸に来た依頼者との会話で、イメージが膨らんでいるからだと。見えない裏側の生地を選ぶのも粋です。座り仕事のハンディを超えた健康の秘訣がそこに隠されているんだ。

ゾゾなどコモディ化しすぎた結果、文化を失い、ただでさえ安く、外国人もたくさん働く服飾現場の専門職が職を失い、やがて自らに帰ってくる悪循環よりは、こちらを応援したいと思っています。

オーダースーツの折り目はアイロンだと思っていたのですが、職人が記憶合金のように糸を何百回も縫い返してその果てに自然なカーブが出来ることを知りました。きっとエセオーダーはできないでしょう。

 

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