うちの近くの宅急便は締め切りが19時。 前は20時までだったから1時間短くなった。 残り1時間しかないが、なんとか本日中に円盤を焼いて発送したいときに、その手段はいつも悩む。
編集ソフトであと3時間などの表示が出てもあきらめず、1時間以内で終わる手段を考える。 正式な納品物ならマスター作りになるので、スピードより画質を取るが、そうでないときは、早い手段を選ぶ。
案外かかる編集時間
まぁPCの進化でビデオの処理が早くなったとはいえ、フルハイビジョンで撮影した3カメ映像。これをDVDにするためのエンコード作業は、早いといっても実時間前後はかかってしまう。
案外、お客さんにはこれが伝わっていない。映像というのは編集に実時間の数倍かかる。カメラ台数が多いとなかなか進まない。また、確認にも実時間以上の時間がかかり、編集のミスで隙間が空いてないか、カットポイントがおかしくないか、テロップは?インサートは?といった処理が多く、再生して目で見ない限りは安心できない。ということで長いものは本当に大変だ。
エンコード時間だけを見ると、グラフィックカード(GPU)のCPUエンコード補助がついたことで、従来は10倍もかかっていた重いAVCHDなどは1/3は当たり前、1/10など驚くスピードでレンダリング可能になった。
一方でDVDに用いられるMPEGは圧倒的なほどスピードアップしていない。
MPEG画質と時間のバランスを考える
Ediusであっても詳細を詰めないと、ノーマルな単純エンコードとなり、せっかくの画質が活かせないことが多い。 やはりベストは、2パスエンコード。
AVCHDからでも良いけれども、AVCHDはエンコードの前段階で、デコード作業もかかるため、出来る限り、編集済みのデータはAVIで書き出して、DVDのオーサリングの1回で処理を完結する方が良い。
もちろんEdius側(編集ソフト)でDVD書き出しをすれば1本で完結する。しかしバージョンによっては綺麗にダウンサイジングしないものや、高度なメニューが作れないため、別ソフトに受け渡すのが良い場合が多い。
私の場合は定番のTMPGENGを使用するが、こちらも標準設定のまま使用すると、エンコードしなかったり、CBRの固定ビットレートになってしまう。 個人的観測だけれども、CPU使用率から考えた 画質最上のDVD制作パターン。(1時間25分の素材を用いた場合の計測時間も記述)
- EdiusでのフルHDでの編集
- 上記ソフトで高解像度のAVI出力(30分程度)
- TMPGEncAuthoringWorks5でAVIを読込み、DVDオーサリング
- 上記ソフトでエンコード(3-6時間)*1
- 2倍速でDVD書き出し
*1 上記 項4.の詳細
環 境: E-SATA2 HDD(USB2接続)、PC Core i7 3630QMノート、メモリ16GB
各種テスト:TMPGEncAuthoringWorks5で設定値変更し時間をカウント。
- CBR6Mbps、音声設定なし・・・3時間40分
- 2パスインターレース平均6.5Mbpsー8Mbps、Dolby Digital224Kbps・・・6時間
- 2パスインターレース平均6.5Mbpsー8Mbps、音声設定なし・・・4時間22分
- プログレッシブ2パス6Mbps、音声設定なし・・・4時間40分
- 無劣化書き出し・・・8分
無劣化書き出しが驚くスピード。うーん、これだけ待つのはやはり意味がないかも。素直にDVDの上限より少し少ない8MbpsのCBR固定エンコードをかけられるなら、電気代、時間、修正時の対応などいろんな意味で幸せかも。
しかし、スピードアップを考えた場合は、項2から少し変える。
- EdiusでのフルHDでの編集
- 上記ソフトで出力をMPEG2 2パス書き出し(70分程度)
- TMPGEncAuthoringWorksでDVDオーサリング(再エンコードなし) (8分)
- 2倍速でDVD書き出し(高速すぎると読込みエラーリスク)
* DVDといってもDVD-Rコピーである。
DVDオーサリングの行方
DVDプレス向けの正式なオーサリングは、PCで気軽に出来るようなものはない。
業務用のシナリストのような正式なソフトを使うべきである。
しかし、今は開発元がつぶれた?ようで、もう新品を買うことは不可能であり、かつ国内でのサポートも少しづつなくなるようだ。(ダイキンソフト?)
大変な作業
確かにYoutube全盛時代、プレスのために、静止画や文字を埋め込んだ画像をたくさん用意して、合わせていく作業は、BASICのプログラムしかしらない人間がマシン語を駆使するのと同じことであり、時間もお金もかかる。しかもプレスの方がお得といわれる枚数1000枚とかの数をDVDで作る需要が現在、残っているのかが問題である。 さらにプログレッシブで見られないDVDプレーヤーが多いのも問題である。撮影は既にプログレッシブなのに、わざわざ走査線のフィールドを偶数か奇数かという設定をしなければならないのも無駄である。
時代は4K
もう足音だけでなく、すでにコンシューマーの携帯電話から撮って見られてYoutubeにアップできる時代。PCからのHDMIからも4Kが出せるものが増えているという。 そもそも720ピクセルの1Kに満たないDVD画質がそこまで偉いのかというと、残念ながらそうではない。かといってブルーレイが発達しているかというと、言葉の意味含めて全然普及していない。(フルHDテレビ側に所有している人でも、それを知らない消費者が多い)
映像も無料検索&オンデマンド時代
DVDでの特徴であったチャプターのような機能(その場所から再生するURLが存在)や、より強力な多言語切替機能がYoutubeにはある。 映像業者がクラウド納品が当たり前になる時代はいつだろう。 いや、その前に生配信がきて、使い捨てになる映像が圧倒的に多くなるだろうと思う。 とうとうブロードキャスト、Twitterのごとく、有益な映像情報であっても使い捨てし、必要なときに見るオンデマンド時代がやってきたと確信している。