カメラマンという仕事(過酷なロケ現場編)

映像はサラリーマンの実労働よりも、明らかに瞬発力が必要なジャンルである。頭と身体という意味ではなく、同じ労働でも圧倒的に集中しないといけない時間があるという意味である。

しかしそれは、一般の人には案外知られていない。

 

カメラマンの仕事

ハイビジョンになってから、小さいモニターでフォーカスの山であるピントを見なければいけない。そして収録媒体やバッテリーの残量確認はとても大切な仕事だ。露出オーバー・アンダーへの気配り、VEさん不在の場合は、色や音量メーターの振れ、エアコンの音や私語といった雑音もチェックする。

さらに水平や画角チェック、録画状態の確認、被写体の動きを予測し、余裕をもったカメラワークや切り取りが必要であり、滑らかなパンをするために始点と終点、その間の速度を調整する。
もちろん機材に故障がないか、前日にチェックすることも怠ってはいけない。ズームのレンズは稼動するか、録画は出来るか、クリーニングは出来ているか。

 

さらなる仕事

カメラ側の設定項目もたくさんある。フルハイビジョンかハイビジョンか、mp4かmovかH.264なのか、インターレースかプログレッシブか、転送レートは17Mbpsから50Mbps以上まで様々。16:9か4:3かなど・・・・

1人ならセンター、日の丸構図ということでもない。テロップや大きなロゴを常時表示必要ならレイアウトも意識する必要がある。もちろん使いはWebなのか、どういった形で渡すのかを知っておくほうが良い。

しかもシナリオがないものならなおさら、チェック項目が増える。

複数人数のインタビューともなれば証明写真のごとく、並んだ時の微妙な立ち位置の不自然さを柔らかく指摘し、うまく丸めないといけない。

予測しない動きや、誰がしゃべるかわからない混沌としたものを、ある程度予測しながらカメラの画角を調整する。しかも三脚の上なら、高さ調整は瞬時には出来ない。

当然、ディレクターの仕事であったりするが、ディレクターに見せるモニターが用意できない状況ということもある。カメラマンでしか気付けない領域は、確かにある。

 

人間関係、力関係でより仕事が複雑に

被写体が大手社長や、タレントやアーティストといった自身がブランドになっているならば、広報や、専属事務所のマネージャーといった視点が増える。本人が納得してもダメなのだ。ならば第三者にも見えるようにモニターを用意する必要がある。電源はあるのかバッテリーか、ケーブルはカメラから何で這わすのか。

もちろん被写体側の都合でやり直しもたくさんある。

 

編集が加わるとさらに奥が深い

編集になったらなったでまたまた奥が深い。テロップやオープニングはもらう素材はどうか、どんな形式で、どんな媒体で渡すか?誰がどんな端末で閲覧するのか。マスターの管理はどうするか、バックアップは?現場で編集するなら電源は?

この話は、もうこのぐらいでやめたいけれど、列挙するのが疲れるぐらい項目があるということを伝えたい。

どれも欠かせない項目であるがために、体で覚えていないといけない。24Pで撮影した後にスローに有利な60Pに戻して・・というわけにはいかないのである。

まさにこの点を見てもノウハウ仕事だといえる。

 

撮影時間=撮影時間

当たり前のことだけれど、上記の作業をいったい何時間続けられるのだろうと考えてみる。たとえば4時間のイベントがあったとして、一人のカメラマンに任せていいのだろうか。

そして、そんなプレッシャー状況で、カメラマンは長生きできるのだろうか。きっと8時間労働といった話で割り切れるものでない。

 そんな撮影と編集とアップロードといったフル工程を今日は11時間かけてやったことになる。もちろん映画など他の過酷な現場は山ほどあると思う。そう、とてもプライスレス(笑)

 

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