地上デジタル放送開始をきっかけに、家電メーカーの業績に莫大な影響を与えたフルハイビジョンテレビの普及合戦。これにより、大きさはともかく、とっくの昔にサイズ家庭に入りつくしています。(まぁHDをFHDだと思って買わされている人も相当数いるでしょうが)
にも関わらず、まだまだDVDの市民権が強いのはなぜでしょうか?
DVDは高画質という妄想
それは、映画などのブルーレイ作品が高価だからということもあるでしょう。しかし体感的には、恐らく、一般消費者がよく解っていないのだと感じています。
そもそもVHSからDVDになる際に、高画質をうたったものですから、相当数がDVD=高画質という認識が刷り込まれていると思っています。もっとも、映画のDVDエンコード処理が優秀だったことと、メーカーのDVD画質をFHD画質相当に擬似アップする技術も貢献しているのかもしれません。
さらには映像そのものの特性もあるのかもしれません。静止画では目立つのに、動画なら多少荒くても見続けられるし、さらに内容良ければ関係ない。テレビ放送は、フルハイビジョンのテレビモニターで といいながら、幅1920ピクセルのモニターに対して、一般的な配信解像度は幅1440ピクセルで、存分に解像度を堪能できていないのですから。
ブルーレイ画質の誘惑
先日のイベントが始まる直前のこと。
撮影を依頼頂いたクライアントから撮影&納品仕様が出なかったので、今回の納品形式は?とたずねたらやはり、DVDでお願いします とのことでした。
その後、ご自宅は大きなテレビかどうか、ブルーレイはあるか と尋ねたら「ブルーレイ見えます。大丈夫です。売り物ではないので枚数も1枚で構いません」とのことでしたので、納得の上、ブルーレイ納品をさせてもらうことになりました。
納品形式はさておき、収録はFHD24Pで実施しました。そのデータをネイティブ状態、ブルーレイ画質24Pのまま編集し、メニューを作り、さらにサムネイルも動画にし、背景も現場のシーンをセレクト、きっちりオーサリングしました。
完成にやり取り時間を要するジャケットは悩んだ挙句やめて、家庭プリンターでの表面印刷だけにしました。表面は一応、お客様の案内状を元にクオリティーを合わせる格好で、多少デザインしましたが。
複製依頼がきた
大事なシーンで人が2台のカメ前に居座ってカットせざるを得ないシーンがあったことと、歌などはフルは聞いてられないので、最初と最後だけをつまんでテンポ優先の編集を心がけました。
きっと気に入ってくれて、1枚では納得しないだろうと思っていたら、案の定、複製依頼が来ました。間接的に聞いたのですが、依頼者が大画面で見て、とても喜んでくれたらしく、映像は初めてではないはずですが、相手から追加注文が来たのです。
撮影がうまいとか、編集が良いとか、オーサリングが映画のようとか、ではなく、たいして誇るものはありませんが、ただひとつ、24P、FHDで撮影したものをネイティブ編集し、納品も24P、FHDでブルーレイにしたことが良い結果を生み出したのだと確信しております。
とにかく「DVDでいいよ」 といったお客さんの意図が、値段を安くしたいのか、単に知らないのかが解れば、高付加価値のブルーレイに出来て費用もアップしてWin-Winになるかもしれないということ。ぜひ一度、お客様に尋ねてみれば?と思うのです。
業界は猪突猛進
業界ではブルーレイどころか、既に4K画質を見越した次世代ブルーレイ Ultra HD Blu-rayの出荷が予定されています。しかし、メーカーと一般消費者との間では、まだまだブルーレイさえ、説明し尽くされていない状態が続いていると確信した一日でした。
まぁスマホやタブレット経由で、大型モニターに転送するAirPlayやChromecastの仕組みを使った人は、ほんとうの高画質は知っていて、もう媒体なんて不要だと思っているかもしれません。
しかしその一方で、保存の問題や、AirPlayでは超高画質を送るには、おんぼろ無線環境ではさすがに時間がかかりすぎることと、20Mbps越えのような高転送レートではスマホやタブレット側では負荷が高すぎ。
結局、記念ものには、媒体経由では限界があるかと思うのですが、同じFHD画質では、転送レート違い程度の戦いでは、プロか、画質おたくしか解らない世界かもしれませんね。