誘われて絵巻物のフィルム映画化したもの(100分)を見に行きました。
浮世絵の祖
知りませんでしたが、又兵衛は、浮世絵の祖ともいわれ、彼の絵は、重要美術品10点、美術品指定4点など、沢山受賞を受けているようで、宮内庁にも絵が貯蔵されてるとのことでした。
何よりも驚きは、先日学んだ、狩野永徳、長谷川等伯がお抱え絵師という立場に対して、彼は大和絵、浮世絵、大津絵のはしりとされ、庶民派の絵師だったということ。狩野派が書いた洛中洛外図をも描いたとされ、心の底から喜びながら書かれた様子が見えるとのことです。その中なんと3千人も描かれているようです。
今回の巻物
常盤御前と牛若丸の物語で、当時流行したものだそうです。しかし、上記画家にも勝るとも劣らぬという画力は、彼ら同様に300年以上前に書かれた絵とは思えない迫力と、丁寧な画力があり、見るものを圧倒させる力がほとばしっていました。
その巻物は、12巻もあり、MOA美術館に所蔵されているとのこと。幅34cm、長さなんと150m。
映画化された巻物
その巻物を、ドキュメンタリー映画の第一人者と呼ばれる羽田監督により、まさに怨念の絵師とも形容される彼の巻物を、カメラワークで撮影したものと、ロケ映像とミックス、それに古典の浄瑠璃の語りや、三味線、増え、小鼓といった演出で味付けされたものでした。
ちなみに浄瑠璃の語りは、わたしのような不勉強なものには6割以上理解不能で、絵でなんとか理解したという感じでした。そして失礼ながらギャップがありあすぎて映画中の実写はいらないかなぁと思いました。
怨念の絵師
怨念と呼ばれる所以は、織田信長に謀反した荒木村重の遺児で、母親の岩佐性を名乗って、馬に抱かれて有岡城を出たようです。母を含め、一族郎党600名余を信長に惨殺された恨みを、絵にぶつけたことがわかる迫力でした。血の赤、まな板の魚の赤、火の赤がこれほど鮮明に光を放っている絵は、圧巻!でした。
織田信雄(のぶかつ)に眼をかけられ、本願寺で囲われた・・・ということは、長谷川等伯とも同じような境遇の予感がします。そして洛中洛外図には、村重一家もこっそり書かれてあるということで、2歳で伊丹城を追われた不遇を、絵という形で夢を実現したかったのでしょうね。
強い思いはバトンリレーのごとく次世代に繋がるということを学びました。