帽子屋さん 2015.10月末 廃業

いつもブルーバックになりそうな生地を見ながら船場を歩き、たまに買って、小さすぎて後悔することがあります。

 

豪華なブルーバック

銀行に硬貨の束を持ち込む関係者と警備員。さすがチープなので無防備!

銀行に硬貨の束を持ち込む関係者と警備員。さすがチープなので無防備!

しかし、なんと今日は、5m四方はあるブルーバック、というか、とてもキレイな紺色の生地を見つけました。

その生地は店頭にあるワゴン内で見つけたのですが、ご自由に持っていってください と張り紙があったので、まさかと思って確認したところ、確かに、無料とありました。

千円以上でもおかしくない生地の中、どれがいいか眺めていると、中から、中年の穏やか風の女性が出てきました。

これほんともらっていいの? と聞くと、

「遠慮なくどうぞ! 廃棄しようとしてももっていってくれないのよ。」

「へぇーそんなもんなんですね。」

「もうすぐ帽子屋 廃業するんです。」

「えっ!創業どれぐらい?」

「屋号の創業からいくと、半世紀・・・約50年」

唖然と思いながら、帽子業界の現状と過去の栄光を方ってくれた女性。

 

会話のトピック

  • 創業期の元は、鉄などの装飾をやっていたよう。
  • 今や良い物を解る人が少なくなった。
  • 5年経っても色落ちでクレーム言う人がいる。
  • 橋本知事が本庁を大阪港にしてから、いっきに人通りが少なくなった。
  • 3,000円を超えるものは売れず、中国での生産でも、一歩間違えると、赤字になる。(一つ売っても100円の利益のものも多い。税関で薬品や菌が見つかると思わぬ除去や保管料がかかる。)
  • 帽子の汗などの汚れは取りにくい。(型崩れするから洗濯できない)
  • 社内テストだけでなく、専門業者に色落ちの耐久テストに、出している。
  • 価値がわからなく、正しいメンテナンスをする人が減った。
  • 正しいかぶり方を知らない人が増えた。(型崩れする部分を手で握ってしまう)
  • ユニクロなど、大手は社内に生地を作る工程を入れ、安く安定的に使えるが、われわれは仕入れしないといけないため、価格の競争にならない。

 

勉強したこと

価値を伝えることが出来ないと沈む、市場をつくらないと価格を上げることが出来ないという現実をあらためて、教わりました。

とともに、当社ならどうするか。

当然、帽子の汗じみや、皮脂汚れなどは、当社の洗浄液を使えば、分解は簡単。浸け置きが無理でも、ティッシュに原液をつけて、部位に押し付ければ簡単に汚れが取れていきます。これはかびて白くなってしまった一眼レフのレンズでも実験して、効果を確認しているから自信があります。

とにかく消費材との組み合わせなので、売り切りにならず、定期的に使ってもらえる戦略が取れると考えました。

また、帽子に特別なピンをつけるなど、チーム向けの戦略や、記念品に特化するなど、お客さんのより深いニーズを掘り起こすべきだと考えました。

いずれにせよ、創業者の思いを受け継ぐ難しさ、50年続いても、変わり続けないと一瞬でなくなるという現実をまざまざと見せ付けられた一日でした。

さすがに長話した後で、無料でもらうのは申し訳なく、ひとつ千円の帽子を頂戴したのでした。なんかコラボの道を探るか・・・・

コメントを残す